飲食店で味噌汁を注文する人

俺は今まで飲食店で味噌汁を頼む人を馬鹿だと思っていた。

そりゃそうだろう。

味噌汁だぞ。

そんなの家でいくらでも作れるし食えるだろ。

極論を言えば、水に味噌を溶かしただけだぞ。

それに100円以上出すという行為が意味わからん。

一度だけ、親せきと一緒にご飯を食べに行ったとき、味噌汁を注文していた。

その心理が理解できなかった。

え? え? 味噌汁を注文するの?

ただでさえ、一人当たり千円を超えるのに、更にプラスα?

当時の俺は困惑のあまり、めまいで倒れそうになった。

それほど、味噌汁を頼むという行為が理解できなかった。

そう。今日までは。

今日はかつやに行ってきた。

その理由は煮込みカツどんを食いたいと思ったためだ。

昼に卵を三つくらい食べたのに、夜も卵を食べることに抵抗感はあったが、食欲を抑えることはできなかった。

いざ入店すると、カツ丼(梅)を発見。それだけでは寂しいと思い、頼んでしまった。

サラダと「豚汁」

え? 味噌汁じゃなくて豚汁じゃん? 細かいことは気にしないでくれ。

取り敢えず、注文してしまったわけよ。

汁を。

そこで俺は考えた。

当時と今の自分の違いを。

そして行き着いた。

金を稼いでいるか否かだと!

この結論に至るのに1時間くらいかかった。

あぁ、お金を稼ぐってこういうことなんだと思った。

汁に100円以上出すときの心境はこんな感じなんだと、良い体験をすることができた。

財布にある程度の余裕があるからできるのだと。

こんな衝撃を受けたのはここ数年で一度もない。

俺の固定観念が今、ぶっ壊れたのだ。

飲食店で味噌汁を頼んだ。

これ以上の衝撃はそうない。

この気持ちを大切にしていきたいと思う。

俺は仕事を辞める気満々だが、飲食店で味噌汁を頼めるような余裕のある大人になりたい。